前回のブログで少し触れましたが、今日はスウェーデンで普及しつつある6時間労働の取組みについてご紹介したいと思います。福祉国家としても有名な同国ですが、労働時間においても非常に先進的な取組みを行っています。
彼らの考えとして、8時間労働は効率的では無いと考えています。なぜなら集中力を保つ事が容易では無いからです。その為、仕事以外のものに手を出したり、休憩を多めに取ったりしてしまいます。
また、プライベートを楽しむ事も難しくなり、結局はそれが仕事に影響を及ぼしてしまうのです。
6時間労働にする事により、仕事中のSNSの使用を禁止し、ミーティングは最短で終わらせる。限られた時間で仕事を終わらせる意識が向上した事により生産性は20%以上アップ。悪影響は一切ありませんでした。そればかりか、従業員のモチベーションは向上し、みんな笑顔になり職場内での争いが激減する事になりました。
このような事を書くと、それはスウェーデンの企業だから出来るんだと思われがちですが、実際は現地の日本企業の多くも6時間労働制を採用しているのです。
スウェーデン第2の都市ヨーテボリにあるトヨタ自動車でのサービスセンターでも、この制度を採用したことにより顧客の待ち時間は短くなり、従業員のストレスの軽減に役立ちました。営業時間は2交代制で12時間確保されている為、サービスの質も落すことはありません。
この結果、従業員の満足度は上がり、離職率も低下、雇用も容易になり優秀な人材を獲得出来る機会が増えたそうです。
重要な事はこの制度の採用を給与を減らすことなく実現した事です。なぜなら、これにより利益が25%もアップしたからです。一見、企業にとって不利益と思われる同制度ですが、スウェーデンの行政が本格導入を検討する理由はここにあるのです。
労働時間を減らす最大のメリットは業務の中に潜む『ムダ』を徹底的に削ぎ落とす事が可能になる点です。我々は気付かない内に様々なムダを仕事に持ち込んでしまっています。客商売の場合、顧客満足はある意味効率の対局にある場合も多く、業種によっては一概に決め付けるのは危険ですが、改善の余地は多いと思います。
正直、長時間ダラダラと働く習慣が付いた日本人がいきなりこの制度を導入すると期待通りの結果が出るかどうかは分かりませんが、トヨタのような多国籍企業がノウハウを社内に蓄積する事で、それを国内にフィードバック出来る可能性はあると思います。 企業にとって最大のミッションは利益の最大化にあるからです。
その意味で、このスウェーデンの取り組みは注目に値すると考えています。
しかし、『カイゼン』などに代表されるように生産現場での効率性を徹底的に追求し、世界に誇るシステムを作り上げた日本人が、なぜホワイトカラーの現場に効率性を持ち込めないのか不思議でなりません。恐らくですが、周りの目を気にし過ぎる国民性や自立心の欠如などが影響しているように思います。本来、業務のムダを洗い出すような作業は非常に得意な国民性だと思います。多分、多くの人が初めはムダと認識しながらも、それが習慣になってしまっているのかもしれませんね。
ここから何らかの『気付き』を得てくれる企業が少しでも現れる事を期待したいと思います。