2015年も1ヶ月を切り終わりを告げようとしています。来年2016年の景気を占う上で欠かすことが出来ない事象が中国経済の動向です。リーマン・ショックから立ち直りつつある世界経済がこのまま息を吹き返すかどうか、はこの国の動向に掛かっていると言っても過言では無いと思います。
2015年8月24日、この日はある意味、世界を震撼させた日でした。
前週、中国政府が発表した製造業購買担当者景気指数が悪化しており、市場関係者の間では『週明けに何らかの景気対策が打ち出されるであろう』という読みが大勢を占めていました。ところが何も出てこなった為、市場は失望し我先にと売りに走る事になります。
結果、上海市場では8%を超える暴落が発生し、すぐに日本に飛び火。日経平均は895円も下げました。これを受けダウ平均は一時1000ドルを超える下げを記録しました。これはリーマン・ショックの際の777ドルの下げを大きく上回る数字でした。
この事件を機に中国経済の世界への波及の可能性が大きく取り上げられる事になります。
中国はこの事件に端を発した株価下落に国を上げて株を買い漁り、売りを制限する事により一応株価を落ち着かせる事には成功しました。しかし、一方において海外の金融機関は中国株離れを加速させる事になります。売りたい時に売れない資産を保有する事はリスク管理が出来なくなる事を意味するからです。
このような事柄を見ていくと中国政府には『市場への説明』が欠如している事が過大視されます。人民元の切り下げの際もそうでしたが、とにかく唐突過ぎます。説明がなされない為、市場がパニックを起こし、それが不信感に繋がるという悪循環を起こしているのです。
2016年は本格的に中国経済の衰退が表面化してくるものと思われます。その際、如何に市場に対し、説明責任を果たすか、大きな課題だと言えます。
このような事を含め、今、世界の一番の関心事は『果たして中国経済のメルトダウンは避けられるのか!?』という点だと言えます。具体的には、銀行の過剰融資が焦げ付き金融危機が発生し、世界に波及するというシナリオになりますが、様々なシンクタンクの予想では概ね楽観的な意見が大勢を占めていると言えます。
しかし、一方においてシャドーバンキングによる融資額の不透明性や国家統計の信頼性の無さが不安を増大させている事は否定出来ません。
現在、続々と撤退を決める外国企業と市場から逃げる投資家という構図が明確になり、世界的に中国離れが加速しています。7%と発表された経済成長は実質的には5%という声も聞かれ、失業者が増加し、貧富の差は増々増大していると言えます。
2016年は中国経済にとって正念場となる1年です。仮に、これに失敗すると世界経済を奈落の底に叩き落とすインパクトを持つことになります。もちろん可能性は低いとは言えますが、問題を複雑にするのは中国政府の発表する統計が信頼出来ない為に唐突に起こりえる、という点です。
世界は思った以上に中国経済に依存しています。インパクトは限定的という楽観的に意見も良く聞かれますが、個人的は過小評価は危険だと感じます。今、必要なのは中国経済の透明性を確保し、世界が監視出来る状況を構築する事、その重要性を非常に感じています。